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令和7年度教育行政執行方針
1 幼保小等連携
2 義務教育
3 高等学校・高等教育
4 生涯学習
5 社会教育
6 家庭教育
7 芸術文化
8 文化財
9 スポーツ
10 国際化対応
はじめに
令和7年第1回定例会の開催にあたり、教育行政の基本的な考え方と施策の大要について申し上げます。
人口減少・少子化が著しく、グローバル化の進展、デジタル分野の急速な技術革新など、社会構造が大きく変化し、将来の予測が困難な時代を迎えています。このような状況下において、教育は子どもはもちろんのこと、市民の未来を支える上で重要な役割を担っています。
持続可能な社会を築き、誰もが幸せを実感できるようなまちにするためには、問題解決能力と協働性を備えた人材を育成する教育が不可欠です。一人ひとりが幸福感や生きがいを見つけられるように、日本社会に根ざしたウェルビーイングの向上を目指す教育こそが、今、最も求められています。
学校教育では、児童生徒の学びを保障し、新たな時代の要請に応える資質・能力を育成するため、学校力の向上と地域社会との連携強化が求められており、社会教育では、社会の変化に柔軟に対応し、生涯にわたる学習意欲の向上とさまざまな課題解決・自己実現を支援するため、生涯学習の役割が一層重要となってまいります。
教育委員会では、社会がどのように変化しようとも、子どもたちがふるさとへの誇りと愛着を持ち、自ら考え、主体的に判断し、より良く問題を解決する資質や能力、他人を思いやる心や感動する心などの豊かな人間性、そして、たくましく生きていくための健康や体力をバランス良く育むことに努めるとともに、市民誰もが主体的に学び続け、学びの成果が生かされる生涯学習社会の実現を目指し、教育行政の充実・発展に尽力してまいります。
また、さまざまな教育課題に対応するため、『網走市教育大綱』を基軸として関連する計画に基づき、学校と家庭、地域、幼児教育や大学など関係機関との連携を一層強化して、各種施策を推進してまいります。
1 幼保小等連携
第一に、幼児教育と小学校教育の連携についてです。
学校教育では、幼児期の教育を通して育まれた資質・能力を踏まえて教育活動を実施し、子どもが主体的に学びに向かうことが重要で、そのためには幼児教育と学校教育の連携が不可欠です。
このため、子どもが円滑に小学校生活を始められるよう、幼児と小学校児童との交流を充実させるとともに、教職員間で教育内容や指導方法についての情報交流や相互理解を深めるため、幼稚園や保育園、認定こども園と小学校との連携を進めてまいります。
2 義務教育
第二に、義務教育についてです。
これからの社会がどんなに変化しても、子どもたちが自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、判断して行動し、それぞれに思い描く幸せを実現していく「生きる力」を育むため、「知識及び技能の習得」「思考力、判断力、表現力等の育成」「学びに向かう力、人間性等の涵養」という、資質・能力の三つの柱の育成が実現されるよう、『網走市学校教育推進プラン』を基本としながら、一人ひとりの可能性を引き出すための指導の充実を図ってまいります。
また、義務教育9年間で身に付けるべき資質・能力を明確化し、系統性や目的を小中連携を通じて共有するとともに、社会的・職業的自立に向け、学ぶことと自己の将来とのつながりを見通しながら、キャリア形成を育むことができる教育を実践します。
さらに、多様な人々と協働しながら、新たな価値を創造していくための力を身につけた子どもを育むため、引き続き高等学校や大学、関係機関との連携により、将来を見通した学習への興味・関心や学ぶ意欲の向上を図るため、さまざまな施策を推進してまいります。
次に、「確かな学力」の育成ですが、学習内容の確実な定着には各学校の教職員が一体となって、学校の教育目標を踏まえたカリキュラム・マネジメントを実現し、質の高い教育活動を目指し、生活習慣や学習習慣の指導も含め、学校の成果や課題を組織的に検証・改善するサイクルを確立するとともに、教育委員会、家庭、地域で共有し、社会に開かれた教育課程によるきめ細かな指導をさらに充実させていく必要があります。
また、セカンドGIGAスクール構想の実現に向け、国の推奨基準を満たすネットワーク環境を整備し、1人1台端末の更新や電子黒板の増設、デジタルドリル教材や指導者用デジタル教科書などのソフトウェアを一体的に活用し、情報活用能力を育成するとともに、児童生徒一人ひとりの特性や理解度・進度に合わせて課題に取り組み、「令和の日本型学校教育」の実現に向け、「個別最適な学び」と「協働的な学び」の充実に取り組んでまいります。
北海道教育委員会の「学校力向上に関する総合実践事業」の取組の成果を継続‧発展させるため、同一校区内の小学校と中学校が課題を共有し、連続的な学びを構築するために小中連携を核としながら、主体的・対話的で深い学びの実現に向け、「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実を目指し、将来を担う子どもたちに、新しい時代に必要な資質・能力の育成を目指した学級や授業、学校づくりを進めてまいります。
そのために、教職員で組織している「学力向上推進委員会」と「学校ICT活用推進委員会」を再編した新たな組織において、学校間の情報共有、指導方法の工夫改善、小中連携の強化、共同学校事務室の運営などの取組を進め、教員の専門的知識や指導技術の向上ならびに効率的な学校運営の推進を図ります。引き続き、すべての小中学校での公開研究会の開催や、学力向上フォーラム「学びEXPO」、特別支援教育研修会、ICT活用研修会や新任教職員研修会を実施するなど、今日的課題やキャリアステージに応じた教職員の育成を推進するとともに、ICTを活用した校務の効率化を目指します。
一人ひとりの可能性を引き出すための指導の充実では、全国学力・学習状況調査の結果の分析や、学校評価ガイドラインに基づく教育課程の編成・実施による授業改善に向けた指導・助言等を行う教育研究者を招き、教員の指導力向上を図る研修を実施するとともに、学習支援員の配置による算数・数学科での習熟度別指導や少人数指導、外国語指導助手(ALT)の配置による英語教育の充実に取り組んでまいります。
土曜日や長期休業中、放課後での学習機会の創出・支援では、東京農業大学や市内高等学校と連携し、学生ボランティアや学校支援ボランティアを活用した取組を推進してまいります。
家庭や地域と連携した学力向上の方策として、生活リズムチェックシートの積極的な活用を図るなど、基本的な生活習慣の確立や家庭での学習習慣の定着に向けた取組を推進してまいります。
「豊かな人間性」を育む教育では、自他の持っている良さを大切にし、思いやりの心を育んでいけるよう、道徳教育の充実を図ってまいります。
また、自分の感覚や行為を通して理解する実習や実験など、さまざまな場面で実際に体験することを通じて学ぶことの重要性が、AI技術が高度に発達するソサエティ5.0時代にこそ一層高まるとされています。そのため、学校教育と社会教育が連携し、地域学校協働活動事業や電子図書館を利用した読書活動の推進、社会教育機関・施設などの地域資源を活用した自然体験や職業体験、ボランティア活動など、あらゆる教育活動を通して、自立心や自律性、思いやりの心を培い、子どもたちの豊かな人間性や社会性を育む教育を推進してまいります。
「健やかな体」の育成では、子どもたちが、食事、睡眠、運動の大切さを理解し、自ら健康的な生活習慣を身につけるよう支援してまいります。また、体育活動を通して運動習慣の定着を図り、心身ともに健康で元気に生活できる健やかな体を持った子どもの育成を目指してまいります。
楽しく、達成感が味わえる体育授業をはじめ、全小中学校が行う「1校1実践」の取組、「タグラグビー」の推進、「オホーツク網走マラソン」への参加促進などに努めるほか、日本体育大学との連携のもと、大学指導者による教員研修を通して、体力向上を図る取組を推進してまいります。
次に、生徒指導では、SNSの利用上のトラブルや、いじめ、不登校などさまざまな課題に適切に対応できるよう、学校における情報モラルに関する指導に努め、これらの未然防止、早期発見、早期対応を強化してまいります。また、児童生徒や保護者に寄り添った対応のため、これまでの兼任スクールカウンセラーの複数名配置に加え、新たに専任カウンセラーを配置します。さらに、解決困難な課題に対して各分野の専門家が組織的に対応できるよう、新たにスクールソーシャルワーカーを配置し関係機関と連携を図りながら相談体制のさらなる充実を図ってまいります。
特に、いじめ問題は事実関係の早期把握に基づく適切な対応による解決が重要となることから、網走市いじめ防止基本方針や、学校いじめ防止基本方針に基づき、「網走市いじめ問題等対策連絡協議会」を開催するなど、学校と家庭・地域における情報の共有や指導体制の充実を図るとともに、重大事態が疑われる場合については、「網走市いじめ問題専門委員会」を開催し、迅速に対応を進めてまいります。
いじめの防止では、学校と家庭・地域における情報の共有や指導体制の充実を図るとともに、未然防止、早期発見・対応に向け、児童生徒が相談できるアプリの活用のほか、性に対する正しい知識の習得や、互いを尊重し思いやる心、自己肯定感の育成、コミュニケーションスキルの向上が期待できる包括的性教育を実施し、責任ある選択に必要な知識や、「いじめは絶対に許さない」という意識醸成を図ってまいります。
さらに、各学校の児童会や生徒会などが行う「いじめ防止」に関する活動の交流や、子どもたち自身がより良い人間関係づくりや充実した学校生活を送るための取組について考え合う機会として開催する「網走市子ども会議」など児童生徒の主体的な活動を継続してまいります。
不登校の対応では、相談窓口を広く持ち、相談機会を増やし、きめ細かな指導により問題の芽を早期に解消するため、「家庭児童・教育相談室」の活用を促進し、さらには「教育支援センター(クリオネ学級)」における不登校児童生徒への学習支援の取組を進めるとともに、フリースクール等の関係団体との連携によって、多様な学びの場の環境整備と充実を図ってまいります。
特別支援教育では、特別な支援を必要とする子どもへの対応を充実させるため、一人ひとりの教育的ニーズに応じた適切な指導や支援が重要です。通常学級や特別支援学級・通級指導教室に必要な支援体制を整備するほか、学校教職員間で情報を共有し、教職員や支援員を対象にした研修会の開催、発達障がい児童生徒の相談支援などを行い、特別支援教育の充実に努めるとともに、個に応じた学習環境の整備に努めてまいります。
経済的理由によって就学が困難な児童生徒に対しては、義務教育を円滑に受けることができるよう、必要な援助を行います。
登下校時の児童生徒の安全確保では、交通安全や防犯、防災の観点から通学路危険箇所の安全確保に向けた取組を進めるとともに、各地域での見守り活動を側面的に支援し、スクールガードリーダーを継続して配置するほか、パトロール活動用の資材の整備、関係行政機関などで組織する「子どもの安全確保連絡会議」との連携などにより、子どもたちを不審者などから守る取組を継続して行ってまいります。
学校図書館では、引き続き図書館のより良い環境をつくるため学校図書館司書を配置します。また、新たに企業からの寄附を活用し、蔵書の充実を図るとともに、電子図書館に加わる学習ツールを有効活用し、本に親しむ習慣を子どもたちに根付かせるための方策を推進するなど、読書環境の一層の向上に努めてまいります。
学校施設等のあり方については、令和6年3月に策定した「学校施設等改修計画」を踏まえながら、子どもの学習・生活の場として安全で安心な教育環境を目指し、また今後の児童生徒数や学校施設の老朽化などを見据え、より望ましい教育環境の充実など、多角的・多面的な視点を持ちながら、整備や再編を含めた基本的な考え方を定め、さらなる検討を進めてまいります。
次に、学校給食では、計画的な食器の更新と給食用備品の整備や設備の改善を進めるとともに、子どもたちに安全・安心でおいしい学校給食を継続して安定的に提供していくための運営体制の維持に努めます。また、給食食材の産地公表を引き続き実施するとともに、地産地消の取組のほか、子どもたちが食に関する正しい知識と望ましい食習慣を身につけることができるよう、食育を推進してまいります。さらに、保護者の経済的な負担軽減、子育て支援の一環として給食費の無償化を引き続き実施してまいります。
このほか、地域とともにある学校づくりを目指し、地域の住民や企業、教育機関などがもつ人的資源や技能などを生かした学習環境づくりを進めるとともに、コミュニティ・スクールを通じて、学校と地域住民などが、「9年間でどのような子どもを育てるのか」「地域でどのような教育を実現していくのか」という目標やビジョンを共有しながら、地域と一体となって小規模特認校などの特色ある学校づくりを推進してまいります。
生徒数が減少する中、その在り方について将来的な見直しが求められている学校部活動については、国や北海道が定める総合的なガイドラインを踏まえ、今後の地域移行に向けた検討のために設置した協議会において活動環境の整備、人材の確保、費用負担など、さまざまな課題を整理し、子どもたちが将来にわたりスポーツ活動や文化芸術活動に親しむことのできる新たな環境の構築に向けて、学校や関係団体と連携しながら、引き続き検討を進めてまいります。
教職員の働き方改革では、校務支援システムを活用した勤務時間の把握やICTを活用した校務の効率化を進めるなど、本来担うべき業務に専念できる環境の整備を図りながら、すべての教職員がより一層、情熱と愛情をもって子どもたち一人ひとりと向き合う時間の確保に努めてまいります。
3 高等学校・高等教育
第三は、高等学校・高等教育についてです。
小中学生が高等学校・大学と交流する機会を充実することで、将来を見通した学習への興味・関心や学ぶ意欲の向上を図ってまいります。また、少子化による中学校卒業者の減少に伴い、今後市内高等学校の間口削減や学校再編などが懸念されることから、地域に根ざした魅力ある高等学校の存続と、そのあり方について全市的な課題ととらえ、市内関係機関と連携しながら検討を進めてまいります。
さらに、網走南ケ丘高校定時制課程振興のための助成や、定時制生徒の下校時の公共交通手段確保への支援を引き続き行ってまいります。
東京農業大学生物産業学部や地域学校協働活動事業との連携による、市内小中学校での農大生や一般市民の「教育ボランティア」の拡充にも努めてまいります。
このほか、奨学資金制度については、貸付型の奨学資金と給付型の「サン育英奨学金」を活用することで、社会の有用な人材の育成を目指してまいります。
4 生涯学習
第四に、生涯学習についてです。
市民の自主的で主体的な学びや市民相互の学習活動は、豊かな人間性を育み、地域力を高める大きな力となるものです。そのため、各世代の学習ニーズに対応した学習機会の充実や学習情報の提供など、市民の豊かな学びを育む環境づくりに努めてまいります。
図書館では、市民の生涯学習の支援やさまざまな生活課題の解決のため、電子図書館の書籍充実を含め、幅広い図書資料の収集・整備と、レファレンスサービスの充実を図ります。
また、子どもの読書活動を推進するため、「第5次子どもの読書活動推進計画」を踏まえ、学校などと連携した事業を引き続き実施するほか、図書館内外での「よみきかせ会」の開催や読書ノートの活用促進、絵本パック事業などを実施してまいります。
高齢者や障がいのある方々の読書活動の推進では、ボランティア団体などとの協働による読書機会の充実に努めてまいります。
5 社会教育
第五に、社会教育についてです。
社会構造が変化し、人々の生活様式や価値観が多様化するなか、恵まれた自然環境や産業特性、まちの魅力を学びにより再認識し広く伝え、活動することができる人づくりが重要であることから、網走の特色ある地域資源や歴史・文化について学ぶ「あばしり学講座」をはじめ、生活や地域の課題解決に向けた各種講座を開設するとともに、高等教育機関などと連携した多様な学習機会の提供に努めてまいります。
また、地域全体で学校教育を支援する「地域学校協働活動事業」や「放課後子ども教室推進事業」のほか、市民や関係団体と連携し、子どもたちに質の高い学習機会を提供していくとともに、夢を持って生きることの大切さを伝える機会を創出してまいります。
中学校の部活動をめぐっては、部活動の地域移行の方向性や解決すべき諸課題について、学校教育部と連携し、議論の取りまとめに向けて検討を進めてまいります。
さらに、高齢者が健康でいきいきと暮らすための学習機会である寿大学では、創立60周年の節目を祝う式典や記念講演会を行い、高齢者の学習意欲や活動意欲の向上に努めるほか、さまざまな世代や地域との交流を通じた高齢者の生きがいづくりを推進してまいります。
網走信用金庫創立100周年記念事業の協賛を受け、より充実した講師を招聘し開催する、市民大学講座の創立50周年の取組を支援するほか、人づくりや地域づくりを目的とした公民館の役割や機能について意識を高めるため、北海道公民館大会の開催を支援してまいります。
社会教育施設の在り方については、今後の人口推移や施設の老朽化などを見据え、引き続き検討してまいります。
6 家庭教育
第六に、家庭教育についてです。
子どもたちが健やかに成長していくために、家庭と地域がともに学び、地域全体で子どもを育てていくための環境づくりを目指し、学校や地域、関係団体などと連携を図りながら、子どもたちの発達段階に対応した事業を実施するとともに、健康福祉部局と連携を図り、子育て世帯を対象にした子育てに関する講座の実施など、家庭教育支援に努めてまいります。
7 芸術文化
第七に、芸術文化についてです。
心の充実は豊かな人とまちを育むものであり、市民文化の高揚は地域社会に豊かさと潤いをもたらします。そのため、市民誰もが優れた芸術に触れることができるよう、さまざまな分野の芸術鑑賞機会を提供してまいります。
芸術文化合宿では、引き続き網走の地域性を活かし、芸術文化活動団体の合宿誘致を推進するとともに、市民との交流を通じて、まちのにぎわいづくりと市民の芸術文化の向上に努めてまいります。
また、全国で初めての開催となる大学対抗の風景写真競技会「フォトマッチ・インターカレッジ全国大会」を日本学生写真部連盟と共催し、写真文化の振興を推進してまいります。
網走信用金庫創立100周年記念事業の協賛を受け、クラシック音楽鑑賞会実行委員会が企画する、札幌交響楽団演奏会を支援するとともに、美術館では、特別企画展として東郷青児、ジョルジュルオーを紹介する「SOMPO美術館展」を開催し、より優れた美術作品の鑑賞機会を提供いたします。
さらに、郷土作家を紹介する常設展や、所蔵作品展の他に、洋画家「村上陽一展」、デニムアートの「中川裕孝展」などの企画展を開催し、美術作品の鑑賞機会を提供するとともに、「小中学生のための美術展」や市内学校への「出張美術館」を実施するほか、各種美術講座や作品解説会の開催など、美術教育の普及に努めてまいります。
将来の活躍が期待される若手美術家を応援するため、市内にその作品を展示する事業を引き続き取り組んでまいります。
博物館では、郷土を語ることのできる博物館として展示や資料をはじめ、その機能の充実に一層努めてまいります。
また、歴史と自然を学ぶための企画展などを開催するほか、博物館友の会と連携した各種講座や見学会、観察会などを開催し、子どもたちや市民の学習機会の充実と教育普及活動を推進してまいります。
8 文化財
第八に、文化財についてです。
国の史跡「モヨロ貝塚」について学ぶことのできる講演会や体験学習会などの講座を開講し、モヨロ貝塚の理解とPRに努めてまいります。
また、博物館網走監獄の重要文化財建造物の耐震対策工事に対して支援を行ってまいります。
9 スポーツ
第九に、スポーツについてです。
スポーツは、青少年の健全育成や健康の維持・増進、コミュニティづくりなどの役割を果たすものであり、年齢や性別、障がいの有無にかかわらず、誰もが生涯にわたってスポーツに親しみ、健康づくりに取り組むことができる環境づくりが重要です。
このため、スポーツ施設の整備や維持管理を進めるとともに、競技スポーツの振興や、それぞれの体力や年齢・目的に応じた各種スポーツ教室を開催するなど、スポーツへの参加機会の提供に努め、スポーツを通じた健康づくりやコミュニティづくりを進めてまいります。
また、各種運動施設の利用状況の変化や施設の老朽化を踏まえ、総合運動公園内の屋内施設を対象とした整備構想を策定いたします。
障がい者スポーツの振興につきましては、市内関係団体や日本体育大学附属高等支援学校と連携し、障がい者スポーツ教室の開催や指導者育成の支援を行い、スポーツを通じた仲間づくりや交流のできる環境づくりに努めてまいります。
次に、スポーツ合宿事業の推進では、関係機関や団体との連携を図りながら、ラグビーや陸上競技、2026年に秋春制へシーズン移行するサッカーなどの誘致活動を積極的に行うとともに、国際大会への出場選手や障がい者スポーツなど、幅広い合宿誘致に取り組み、地域の活性化およびスポーツに対する市民意識の高揚を目指してまいります。
さらに、陸上中長距離の国内トップ選手が出場する「ホクレン・ディスタンスチャレンジ網走大会」をはじめ、市内で開催される全国、全道規模の大会など、各種スポーツ大会の開催を支援するほか、競技スポーツの振興を図るため、スポーツ団体や関係機関と連携し、競技力の向上や指導者育成、スポーツ活動の支援など、環境づくりに努めてまいります。
10 国際化対応
最後に、国際化対応についてです。
幼児や小学生のうちから外国語に親しみ、異なる文化や風習などを体験・学習する機会の提供を通じて、日本や網走の文化を再認識するとともに、国際感覚を持った人材育成を目指した取組を、引き続き実施してまいります。
また、市内に在住する外国人を対象に、網走の歴史や文化、魅力を学ぶ機会や、市民と交流する機会を提供し、市民と在住外国人が互いに文化を理解し共有できる環境づくりに努めてまいります。
おわりに
以上、令和7年度における教育行政推進にあたっての教育施策の概要について申し上げました。
教育委員会では、社会がどのように変化しようとも、子どもたちが自らの夢や希望に向かって、自立して社会でたくましく生きていくために必要な、総合的な人間力の基礎を身につけることができるよう、学校と家庭・地域が共通の認識の下、関係機関・関係団体などとの連携を図りながら、本市教育のより一層の充実・発展に全力で取り組んでまいりますとともに、生涯を通して豊かに学ぶことのできる生涯学習社会の構築に努めてまいります。
市民の皆様並びに議員各位の一層のご理解とご協力を心からお願い申し上げます。