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令和2年度教育行政執行方針

ページID:0001063 更新日:2020年3月6日更新 印刷ページ表示

網走市教育長教育行政執行方針演説の様子

はじめに

1 幼保小等連携
2 義務教育
3 高等学校・高等教育
4 生涯学習
5 社会教育
6 家庭教育
7 芸術文化
8 文化財
9 スポーツ
10 国際化対応

おわりに

はじめに

 令和2年第1回定例会の開催にあたり、教育行政の基本的な考え方と施策の大要について申し上げます。

 今日、グローバル化が一層進展し、IoTやAIが新たな価値を生み出すsociety5.0が到来しようとする時代を迎え、当市が将来にわたって持続的に発展していくためには、地域を支え、未来社会を自立的に生きていく人材を育成する教育の役割が重要となっているところであります。

 このような中、教育を取り巻く環境、情勢も大きく変化してきており、学校教育においては、新学習指導要領の全面実施が小学校から始まり、新しい時代に必要となる資質・能力の育成に向けた教育の充実、地域とともにある学校づくりの実現などが求められております。社会教育においては、様々な課題解決・自己実現のための生涯学習の推進、学習機会の提供などが求められております。

 教育委員会としましては、社会がどのように変化しようとも、子どもたちがふるさとへの誇りと愛着を持ち、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力、他人を思いやる心や感動する心など豊かな人間性、そして、たくましく生きていくための健康や体力をバランスよく育んでいくことに努めるとともに、市民誰もが主体的に学び続け、学びの成果が生かされる生涯学習社会の実現を目指し、教育行政の充実・発展に尽力してまいります。

 様々な教育課題に対応するため、「第2次網走市学校教育計画」、「第4次網走市社会教育長期計画」などをはじめとする各種プランに基づき、学校、家庭、地域や大学など関係機関との連携を一層強化して、各種施策を推進してまいります。

 この後は、教育施策の概要について申し上げます。

1 幼保小等連携

第一に、幼児教育と小学校教育の連携についてであります。

 学校教育においては、幼児期の教育を通して育まれた資質・能力を踏まえて教育活動を実施し、子どもが主体的に学びに向かうことが重要であり、そのためには幼児教育と学校教育の連携が不可欠であります。

 このため、子どもが円滑に小学校生活を始められるよう、幼児と小学校児童との交流を充実させるとともに、教職員間で教育内容や指導方法についての情報交流や相互理解が深められるよう、「幼稚園・保育園・認定こども園・小学校」の連携を進めてまいります。

2 義務教育

第二に、義務教育についてであります。

 自ら学び、自ら考え、豊かで幸せな人生を切り開いていくことができる「生きる力」を育むために、「知識及び技能の習得」「思考力・判断力・表現力の育成」「学びに向かう力・人間性の涵養」が実現されるよう、一人一人に応じたきめ細かな指導の充実を図ってまいります。

 また、多様な人々と協働しながら新たな価値を創造していくための力を身につけた子どもたちを育むため、学校、家庭、地域社会、行政がそれぞれの役割と責任を果すとともに、引き続き、高等学校や大学との連携も図りながら、様々な施策を推進してまいります。

 はじめに、「確かな学力」の育成についてでありますが、当市の児童生徒は、「全国学力・学習状況調査」における全国平均との差が年々縮まるなど、改善の傾向が見られておりますが、学習内容の確実な定着には、学校が一体となって質の高い教育活動を推進するとともに、生活習慣や学習習慣の指導も含め、きめ細かな指導を充実させていく必要があります。

 そのため、学力の課題や、これまでの取組の成果を教育委員会、学校、家庭、地域が共有するとともに、「授業におけるICT機器の活用」「網走市読書感想文コンクール」や「土曜学習サポート(あばしり寺子屋)」などの取組を推進してまいります。

 また、教員の専門的知識や指導技術の向上を図るため、引き続き、市内全校での公開研究会の開催や、指導方法の工夫改善の取組を進めるとともに、学校間の情報共有や、小中連携による教育活動を推進します。

 一人一人の資質・能力を伸ばすための、きめ細かな指導の充実につきましては、教員の指導力向上を図る研修を実施するとともに、学習支援員の配置による算数・数学科での少人数指導や、ICT機器を活用した学習活動の充実を図ってまいります。
また、校務支援システムを活用した校務の情報化による、児童生徒理解に基づく指導・支援の充実や、学校における働き方改革を進め、すべての教員が子どもたち一人一人と向き合う時間の確保に努めてまいります。

 土曜日や長期休業中、放課後における学習機会の創出・支援につきましては、東京農業大学や市内高等学校と連携し、学生ボランティアを活用した取組を推進してまいります。

 また、家庭・地域と連携した学力向上の方策として、生活リズムチェックシートの積極的な活用を図るなど、基本的な生活習慣の確立や家庭での学習習慣の定着に向けた取組を推進してまいります。

 「豊かな心」を育む教育につきましては、自他の持っているよさを大切にし、思いやりの心を育んでいけるよう、道徳教育の充実を図ってまいります。そのために、読書活動の推進や、自然体験、ボランティア活動など、あらゆる教育活動を通して、自立心や自律性、思いやりの心を培い、子どもたちの豊かな人間性や社会性を育む教育を推進してまいります。

 「健やかな体」の育成につきましては、自ら心身の健康を大切にする気持ちや運動の楽しさ、喜びを実感できる体育活動を通して、心身ともに健康で元気に生活できる健やかな体を持った、子どもの育成を目指してまいります。

 楽しく、達成感が味わえる体育授業をはじめ、全小中学校が行う「一校一実践」の取組、「タグラグビー」の推進、「オホーツク網走マラソン」への参加促進などに努めるほか、引き続き、日本体育大学との連携のもと、大学指導者による子どもへの指導や教員研修を通して、体力向上を図る取組を推進してまいります。

 次に、生徒指導につきましては、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の利用上のトラブルや、いじめ、不登校など様々な課題に適切に対応できるよう、各学校における情報モラルに関する指導や、相談体制を充実させるとともに、関係機関との連携を図りながら、これらの未然防止、早期発見、早期対応に努めてまいります。

 特に、いじめの問題は事実関係の早期把握に基づく適切な対応による解決が必要となることから、網走市いじめ防止基本方針や、学校いじめ防止基本方針に基づき、学校における教職員間の情報の共有や指導体制の充実を図ってまいります。

 また、各学校の児童会・生徒会等が行う「いじめ防止」に関する活動を交流したり、子どもたちがいじめの問題について主体的に考える機会として開催する「網走市子ども会議」などの取組を継続してまいります。

 また、相談窓口を広く持ち、その機会を増やすことにより問題の芽を早期に解消し、きめ細やかな指導につなげるため「スクールカウンセラー」を複数名配置するとともに、「家庭児童・教育相談室」の活用促進、さらには「適応指導教室(クリオネ学級)」での不登校児童生徒への学習支援の取組を進めてまいります。

 特別支援教育につきましては、特別な支援を必要とする子どもへの対応を充実させ、一人一人の教育的ニーズに応じた適切な指導や支援が重要であります。特別支援学級や通常学級に支援員を配置するほか、学校職員間での情報の共有、教職員や支援員を対象にした研修会の開催、各小学校の特別支援学級に配置したタブレットパソコンの活用などを図りながら、特別支援教育の充実に努めてまいります。

 経済的理由によって就学が困難な児童生徒の就学援助につきましては、全ての児童生徒が義務教育を円滑に受けることができるよう努めてまいります。

 登下校時の児童生徒の安全確保につきましては、網走市通学路交通安全等プログラムに基づき、交通安全、防犯、防災の観点から通学路危険箇所の安全確保に向けた取組を進めるとともに、各地域においての見守り活動を側面的に支援し、スクールガードリーダーを継続して配置するほか、パトロール活動用の資材の整備、関係行政機関等で組織する「子どもの安全確保連絡会議」との連携などにより、子どもたちを不審者等から守る取組を継続して行ってまいります。

 学校図書館につきましては、引き続き図書館のよりよい環境づくりや蔵書の充実を図るとともに学校図書館司書の配置により、本に親しむ習慣を子どもたちに根付かせるための方策を推進しながら、読書環境の一層の充実に努めてまいります。

 市内小中学校における音楽活動につきましては、全道大会や全国大会へ出場するなど、活躍しているところであり、引き続き、計画的な楽器の更新及び修繕により音楽活動を支援してまいります。

 学校施設の整備につきましては、計画的な整備に取り組み、老朽化等に伴う学校施設の効果的かつ効率的な整備を進めるとともに、児童の安全確保及び学校施設の環境改善の取組を推進してまいります。

 次に、学校給食につきましては、本年度も給食用備品の整備や設備の改善を進めるなど、子どもたちに安全で安心な学校給食の安定した提供に努め、給食食材の産地公表を引き続き実施するとともに、地産地消の取組及び子どもたちが食に関する正しい知識と望ましい食習慣を身に付けることができるよう食育について推進してまいります。

 このほか、地域とともにある学校づくりを目指し、地域の住民、企業、教育機関等がもつ人的資源や技能などを生かした学習環境づくりを進めるとともに、学校と家庭、地域が一体となった学校運営ができる仕組みとして「コミュニティ・スクール」の推進に努めます。そのことにより、学校と地域住民等が、「9年間でどのような子どもたちを育てるのか」「地域でどのような教育を実現していくのか」という目標やビジョンを共有しながら、地域と一体となった特色ある学校づくりを推進します。

3 高等学校・高等教育

第三は、高等学校・高等教育についてであります。

 小中学生が高等学校・大学と交流する機会を充実することで、将来を見通した学習への興味・関心や学ぶ意欲の向上を図ってまいります。

 また、網走南ヶ丘高校定時制課程振興のための助成や、定時制生徒の下校時の公共交通手段確保に係る支援を引き続き行ってまいります。東京農業大学生物産業学部や学校支援地域本部事業との連携による、市内小中学校での農大生や一般市民の「教育ボランティア」の拡充にも努めてまいります。

 また、奨学資金貸付制度についても、従来同様の運用を図ってまいります。

4 生涯学習

第四に、生涯学習についてであります。

 市民の自主的で主体的な学びや市民相互の学習活動は、豊かな人間性を育み、地域力を高める大きな力となるものであります。

 そのため、各世代の学習ニーズに対応した学習機会の提供と、一人ひとりの主体的な学びがともに行動する学びへと進展していく学習環境の整備に努めるとともに、学びの循環として学習の成果が生かされる環境づくりに努めてまいります。

 図書館につきましては、市民の生涯学習の支援や様々な生活課題の解決のため、幅広い図書資料の収集・整備の充実を図ってまいります。

 また、子どもの読書活動を推進するため、学校などと連携した事業を引き続き実施するほか、図書館内外での「よみきかせ会」の開催や、読書ノートの整備、絵本パック事業などを実施してまいります。

 高齢者や障がいのある方々の読書活動の推進につきましては、ボランティア団体等との協働による読書機会の充実に努めてまいります。

5 社会教育

第五に、社会教育についてであります。

 社会構造が変化し、人々の生活様式や価値観が多様化する中、恵まれた自然環境や産業特性、まちの魅力を学びにより再認識し広く伝え、活動することができる人づくりが重要であることから、網走の特色ある地域資源や歴史・文化について学ぶ「あばしり学講座」をはじめ、生活や地域の課題解決に向けた各種講座を開設するとともに、高等教育機関等と連携した多様な学習機会の提供に努めてまいります。

 また、地域全体で学校教育を支援する「学校支援地域本部事業」や「放課後子ども教室推進事業」のほか、市民や関係団体と連携し、子どもたちに質の高い学習機会を提供していくとともに、夢を持って生きることの大切さを伝える場を創出してまいります。

 また、寿大学では、高齢者が健康でいきいきと暮らすための学習機会を提供するほか、高齢者の学習意欲や活動意欲の向上に努めてまいります。

6 家庭教育

第六に、家庭教育についてであります。

 子どもたちが健やかに成長していくためには、家庭と地域がともに学び地域全体で子どもを育てていくための環境づくりを目指し、学校や地域、関係団体等と連携を図りながら、子どもたちの発達段階に対応した事業を実施してまいります。

7 芸術文化

第七に、芸術文化についてであります。

 こころの充実は豊かな人とまちを育むものであり、市民文化の高揚は地域社会に豊かさと潤いをもたらします。そのため、市民の誰もが優れた芸術に触れることができるよう、様々な分野の芸術鑑賞事業を実施するほか、3年ぶりとなる網走ゆかりのアーティストによる「ふるさとアーティストフェスティバル」を開催いたします。

 また、芸術文化合宿では、引き続き網走の地域性を活かした誘致活動に取り組み、まちのにぎわいと芸術文化の拠点づくりに努めてまいります。

 美術館につきましては、優れた美術作品を鑑賞する機会を提供するため、常設展や収蔵作品展を開催するほか、企画展では書道や日本画など特徴ある作品展を開催いたします。

 さらに、小中学生のための美術展や市内各学校への「出張美術館」を実施するほか、各種美術講座や作品解説会の開催など、美術教育の普及に努めてまいります。

 また、将来の活躍が期待される若手美術家を応援するため、市内にその作品を展示する事業について引き続き取り組んでまいります。

 博物館につきましては、昨年末に国の登録有形文化財に登録されたところであり、郷土を語ることのできる博物館として展示や資料をはじめ、その機能の充実に一層努めてまいります。

 また、網走の豊かな海の生物をテーマとした企画展などを開催するほか、博物館友の会の協力をいただきながら、各種講座や見学会、観察会などを開催し、子どもたちや市民の学習機会の充実と教育普及活動を推進してまいります。

8 文化財

第八に、文化財についてであります。

 国の史跡「モヨロ貝塚」について学ぶことのできる講演会や体験学習会等の講座を開講し、モヨロ貝塚の理解とPRに努めるとともに、郷土博物館建物の重要文化財指定をめざし、設計者・田上義也氏に関する特別展を開催してまいります。

9 スポーツ

第九に、スポーツについてであります。

 スポーツは、青少年の健全育成、健康の維持・増進、コミュニティづくりなどの役割を果たすものであり、年齢や性別、障がいの有無を問わず、誰もが生涯にわたってスポーツに親しみ、健康づくりに努めることが重要であることから、競技スポーツの振興とともに、それぞれの体力や年齢・目的に応じた活動機会の提供と環境づくりが求められております。

 このため、各種スポーツ教室を開催するなど、スポーツへの参加機会を提供するとともに、スポーツを通じた健康づくりやコミュニティづくりを目指してまいります。

 また、障がい者スポーツの振興を図るため、市内関係団体や日本体育大学附属高等支援学校と連携し、障がい者スポーツ教室の開催や指導者育成の支援を行うほか、障がい者が自主的かつ継続的にスポーツを行うことのできる環境づくりに努めてまいります。

 次に、スポーツ合宿事業につきましては、関係機関や団体との連携を図りながら、ラグビーや陸上長距離をはじめとする合宿誘致に努めるとともに、国際大会への出場選手や障がい者スポーツなど、より幅広い合宿誘致に向けた取組を行ってまいります。

 また、東京オリンピック・パラリンピックに向けては、オーストラリアと韓国の「ホストタウン」として交流事業などを進めるほか、他の国や競技についても合宿誘致に努めてまいります。

 さらに、陸上中長距離の国内トップ選手が出場する「ホクレン・ディスタンスチャレンジ網走大会」をはじめ、市内で開催される全道規模の大会など、各種スポーツ大会の開催を支援するほか、競技スポーツの振興を図るためスポーツ団体や関係機関と連携し、競技力の向上や指導者育成、スポーツ活動の支援など、環境づくりに努めてまいります。

10 国際化対応

最後に、国際化対応についてであります。

 幼児や小学生などが外国語に親しみ、外国の文化・風習などについて学ぶ環境づくりとして、国際理解のための体験型学習や英会話指導員による語学指導を引き続き実施するとともに、網走と関係の深い諸外国の生活や文化などを学び、知ることができる機会の創出に努めてまいります。

おわりに

 以上、令和2年度における教育行政推進にあたっての教育施策の概要について申し上げました。

 教育委員会といたしましては、社会がどのように変化しようとも、子どもたちが自らの夢や希望に向かって、自立して社会でたくましく生きていくために必要な総合的な人間力の基礎を身につけることができるよう、学校・家庭・地域が共通の認識のもと関係機関・関係団体等との連携を図りながら、本市教育のより一層の充実・発展に全力で取り組んでまいりますとともに、生涯を通して豊かに学ぶことのできる生涯学習社会の構築に努めてまいります。

 市民の皆様並びに議員各位の一層のご理解とご協力を心からお願い申し上げます。