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景観と緑の基本計画
網走市は、自然環境に恵まれており、気候や風土に合った生活や産業の歴史から、特徴的な緑と景観が形づくられています。
『“緑あふれる美しい街並み”を地域全体の協働(パートナーシップ)で守り育てることにより、心地良い生活環境を進め、地域に対する愛情を生み出し、訪れる人をも感動させる貴重な財産としたい。』
そこで、景観法に基づき、良好な景観の保全・形成に関する地域独自の取組みやルールを定める計画(景観計画)と、都市緑地法に基づき、緑地の適正な保全・整備や緑地推進の取組みを計画的に定める計画(緑の基本計画)とを合わせもつ『景観と緑の基本計画』を策定しました。
基本理念・基本目標
網走市ならではの豊かな自然、歴史・文化を生かした景観・緑を守り、創ることは、次世代に引き継ぎ、持続可能な社会を築くための私たちの使命です。そのためには、市民の一人一人が、基本理念を共有し、地域の景観・緑づくりを意識し、参加・協力することが大切です。
景観・緑づくりの理念(将来像) |
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美しいオホーツクの海、湖・河川、豊かな緑、広大な田園、地域の歴史文化と、 人々の生活が調和し、市民とともに、守り育てるまち・網走 ~美しいオホーツクの四季と奏でる“ヒューマンステージ”~ |
基本目標1 美しい景観・緑をまもる(保全する)
美しいオホーツクの海、湖・河川、豊かな緑、広大な田園、地域の歴史文化等を、市民共通の資産として良好な景観・緑を受け継ぎ、次代に継承するよう、その保全を図ります。
基本目標2 美しい景観・緑をととのえる(改善する)
まちづくり、緑づくりにおいて、経済性や効率性、機能性を重視したため美しさへの配慮を欠いた雑然とした景観・緑、無個性・画一的な景観・緑は、網走らしくない景観・緑の阻害要素としてとらえ、規制・誘導を含め、積極的に改善します。
基本目標3 美しい景観・緑をつくる(創出する)
網走の景観・緑の特性を十分踏まえた上で、市民のニーズに応えた新たな景観・緑づくりを進めていくとともに、景観・緑づくりの啓発となる様々なイベントの開催を進めます。
景観づくりの基本的な考え方
景観・緑計画区域の設定は、景観上の特性に配慮し、良好な景観形成のための行為の制限等を行う上で、必要かつ十分な区域として行政区域を範囲とし、景観特性毎にゾーニングし、個別の方針(基準)を設け、良好な景観形成を進めていきます。
網走市は、美しい景観要素に恵まれておりその特性から、大きく自然公園ゾーン、森林・里山ゾーン、丘陵農地ゾーン、まちばゾーンの4つのゾーンに分類します。
また、道路、河川、都市公園、港湾、漁港等の公共施設は、地域の景観上の軸としての役割を果たしており、景観上特に重要なものは、「景観・緑重要公共施設」として位置づけ、魅力ある景観の形成を図ります。
さらに、景観・緑計画区域を対象として、景観・緑重要建造物、景観・緑重要樹木の指定、屋外広告物の規制等により、地域における良好な景観形成を図ります。
施策の実施は、計画の策定過程と同様、市民や民間事業所、各種団体との協働(パートナーシップ)により進めます。
また、様々な立場の関係者が、景観・緑計画区域における良好な景観の形成を図るために必要な協議を行う場として「(仮称)景観協議会」を設置するなど、施策実現に向けた推進体制を整えます。
今後は、施策の実現に向けて、本計画を基礎として景観・緑計画区域を設定し認定基準を設けることや「(仮称)網走市美しい景観づくり条例」の制定を検討するなど、積極的な景観行政を行っていきます。
項目 | 要素 |
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面的要素 | 自然公園ゾーン(国定公園) |
森林・里山ゾーン(国有林、保安林、地域森林計画対象民有林等) | |
丘陵農地ゾーン | |
まちばゾーン(中心市街地、北部、西部、南部、呼人(よびと)等) | |
軸的、点的要素 | 景観・緑重要建造物、景観・緑重要樹木 |
屋外広告物 | |
景観・緑重要公共施設(道路、公園、河川、海岸、港湾・漁港) |
景観・緑計画区域の設定
網走市は、本市の景観・緑要素として、以下の1~4のゾーン、及び5~7の軸や点を重ね合わせた区域=「行政区域全域」を景観・緑計画区域として設定します。
1.自然公園ゾーン
国定公園をはじめとする自然公園法により自然景観が保護される地域、良好な水辺景観を満喫できるゾーン。網走湖地域、リヤウシ湖地域、能取(のとろ)湖地域、濤沸(とうふつ)湖地域、藻琴(もこと)湖地域までのゾーン。
濤沸湖、白鳥公園 | 網走湖 |
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2.森林・里山ゾーン
森林ゾーンは、基本的に人の手が加えられていない緑であり、原生林をはじめとする水源涵養林や施業林、また多くの動植物の生息地など自然景観あふれるゾーン。里山ゾーンは、市街地周辺部の原野、畑、人の手が加えられた農地や雑木林のゾーン。
市街地周辺の里山 | 駒場木の広場 |
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3.丘陵農地ゾーン
高原や丘陵地に広がる良好な農村景観を満喫できるゾーン。東側のゾーンは、遠景に知床を望み、中景には防風林等の樹木で囲まれている。西側のゾーンは、能取湖南側の広大な農地。
増子フルーツガーデン | 感動の径(豊郷(とよさと)) |
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4.まちばゾーン
市街地や集落など人々の生活の営みがあるゾーン。
向陽からの眺め | しおさい公園から 港方面の眺め |
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5.景観・緑重要建造物、景観・緑重要樹木
地域の景観上の核となるような景観・緑づくり上重要な建築物や工作物、樹木。
郷土博物館 | 北浜駅 | 天都山(てんとざん)の桜 |
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6.屋外広告物
景観上の影響が大きい屋外広告物。
7.景観・緑重要公共施設
地域の景観の核として親しまれている道路や河川、都市公園、海岸、港湾、漁港等、地域の顔となる特定公共施設。
道道明生北浜線 | 潮見4条通線 | 網走川 | 網走川左岸 |
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桂ヶ岡公園 | 駒場公園 | 海岸(二ッ岩付近) | 網走港 |
緑づくりの基本的な考え方
「網走市景観と緑の基本計画」は、当市が良好な景観と緑の形成を図るため、“景観と緑”に関する基本的な方針を定める計画です。
都市の緑は、子ども達の感性を磨き、豊かな心を育て、快適で潤いのある生活環境を形成するなど、将来に残すべき国民共有の重要な財産です。
網走市の都市づくりの基本方針を定めた「網走市都市計画マスタープラン」では、海、川、湖や緑があふれ、四季を通じて魅力あるオホーツクの生活を大切にし、個性ある豊かな環境を望んでいくことを、網走で暮らす者の共通の心得とすることを目指し、将来にわたるまちづくりの理念を『自然をいつくしみ、こころ豊かに市民がつどい、オホーツクの文化を創造するまち・網走』としています。
また、網走湖と湖周辺の森林、丘陵地、オホーツク公園などの豊かな自然が都市に近接して備わっている環境をまちの誇りとし、これらを将来にわたる環境保全にむけた重点エリアとして市民全体での認識の共有化に努めること、これらを人々の遊び場、安らぎの空間として有効に利用することとし、水と親しみ緑とふれあえる環境づくりを併せて進めることを掲げています。
網走市は、昭和50年に「網走市地域緑化推進計画」(現在6期目)、昭和61年に「緑の基本計画」を策定し、この計画に基づき公園緑地整備や街路緑化事業を積極的に推進してきました。当市は、市民一人当たりの都市公園面積等は、都市公園法、緑の政策大綱の目標値を上回っていますが、中心市街地をはじめとする都市内に十分な緑地が確保されたとはいえません。
今後、本計画に基づき、緑の保全、活用、創出など、緑づくりに関する施策を総合的に展開し、緑化推進を図っていきます。
景観・緑づくりの施策体系、重点施策
基本理念(将来像)を実現するため、ゾーン毎に目標や方針・施策を設定しました。景観・緑づくりの施策体系・重点施策については、こちらのPDFファイルをご覧ください[PDFファイル/111KB]。