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令和2年度市政執行方針

ページID:0001064 更新日:2020年3月6日更新 印刷ページ表示

網走市長市政執行方針演説の様子

1 はじめに
2 市政執行の基本方針
(1)市政を取り巻く環境
(2)当市の財政状況
(3)今年のまちづくりについて
3 主要施策
(1)一人ひとりを大切にするやさしいまち
(2)豊かな自然と共生する安心なまち
(3)ひとがにぎわいと活力を生むまち
(4)豊かなひとを育むまち
(5)ともに歩み、ともに築く協働のまち
4 おわりに

1 はじめに

 令和2年網走市議会第1回定例会において、予算をはじめ関連する議案のご審議をいただくにあたり、市政執行の所信と施策の概要を申し上げ、議員各位並びに市民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。
 元号が「令和」へと、新しい時代の幕開けとなりましたが、平成の時代は、阪神・淡路大震災や東日本大震災をはじめとする大規模な自然災害の発生、人口減少・少子高齢化の進展、インターネットの出現に伴うAI等の急速な技術革新など、ライフスタイルや価値の多様化が推し進められた時代でありました。
 こうした時代の変化は、絶え間なく変化し続ける中にあっても、市民の皆様をはじめ、関係機関、団体など多くの皆様と課題を共有しながら、網走の魅力を最大限に活かしたまちづくりを進め、豊かで美しい自然の中、ひと・もの・まちが輝き続け、誰もが健康で安心して暮らすことのできるまちを目指していくことが大切なことと考えているところです。
 さて、昨年を振り返りますと、市内の医療を取り巻く環境が大きく変化した年でもありました。特に脳血管疾患による急性期患者の緊急搬送病院の医療体制再構築に向けて、1市4町、消防、医師会などの関係機関と連携して、新たな医療体制が図られたところでありました。
 子育て支援に関しては、妊娠期から子育て期にわたって切れ目のない支援を行う、子育て世代包括支援センター「ユカリエ」を開設し、加えて、認定こども園やへき地保育所の開設、児童館の建替えなど保育施設の充実を図ってまいりました。
 耐震化不足に伴う市庁舎の建替えについて、市民公募や学識経験者、各種団体からの推薦者などで構成する新庁舎建設基本構想策定検討委員会を設置し、建設場所、規模、必要な機能などの基本構想案の策定に着手したところであります。
 観光の面では、女満別空港をはじめとする道内7空港の一括民間委託による運営が開始いたしました。
 今後においては、空港の委託に際し、提案のあったさまざまな投資や航空施策が講じられていくものと期待されます。
 また、管内で初となる「オホーツクSEA TO SUMMIT」を開催し、網走市と小清水町を舞台に、自然と親しみながらさまざまなアウトドアスポーツを楽しむイベントに道内外から多くの皆様に参加をいただきました。
 これを機に、地域が有する多彩な観光資源を活用して、新たなアドベンチャーツーリズムが推進されていくことを期待しております。
 防災については、2月に開局された市内初のコミュニティ放送局「FMあばしり」と連携し、災害発生時等に市民の皆さんへラジオを通じて緊急情報をお届けする仕組みを整備することができました。
 網走市立郷土博物館については、当市の貴重な建造物であります。その本館と新館の2棟が国の登録有形文化財として登録されました。独創的なデザインが高い評価を受けたことは大変名誉なことであり、今後も建物の保全に努め、郷土を語る博物館として、その価値を一層高めてまいります。
 昨年、秋に開催されたラグビーワールドカップにおいて、当市は事前キャンプ地として日本代表が、公認キャンプ地としてフィジー代表が合宿を実施いたしました。このことは、長年取り組んできたスポーツ合宿の成果を残したものと考えます。
 引き続き、市政を取り巻くさまざまな諸課題の解決に向けて、限られた行政資源を効率的・効果的に活用し、持続可能なまちづくりに向けてこれからも力を尽くしてまいります。

2 市政執行の基本方針

(1)市政を取り巻く環境

 政府は、デフレ脱却・経済再生と財政健全化に一体的に取り組むこととし、ソサエティー5.0時代に向けた人材・技術などへの投資等による生産性向上の取組み、賃上げの流れなどを背景とした需要拡大に向けた取組み、さらに全世代型社会保障の構築に向け社会保障全般にわたる持続可能な改革を通じて、一億総活躍社会の実現に向けた取組みを進めるとしています。また、15か月予算の考え方で、持続的な経済成長の実現につなげるとしています。
 一方で、「新経済・財政再生計画」では、令和7年度の国と地方を合わせた基礎的財政収支の黒字化と債務残高対GDP比の安定的な引き下げを目指しており、「経済財政運営と改革の基本方針2019」に沿って歳出改革等に着実に取り組むとしています。
 国の令和2年度一般会計予算は、8年連続で過去最高を更新する102兆6,580億円となり、税収は過去最高の63兆5,130億円と前年度当初比で1.6%の増となりました。
 公債依存度は、前年度当初比0.5ポイントの減となる31.7%と改善傾向にありますが、高い水準ではあるものと考えています。

(2)当市の財政状況

 令和2年度の歳入環境は、市税を前年度とほぼ同額と見込みつつ、地方財政計画の一般財源総額が増額となり、地方交付税の算定において地方社会再生事業費が創設されたことなどから、前年度と比較して改善が図られると見込んでいます。
 歳出環境では、高い公債費負担が続く中、市民生活の根幹を支える医療体制や公共交通の維持、道路や河川などのインフラ施設の適切な管理に取り組まなければなりませんが、財政規律を保ちながら総合計画や総合戦略に基づき、未来に向けた取組みを着実に進めます。
 令和2年度の当初予算ですが、一般会計は230億7,201万8千円で、対前年度比マイナス2億6,446万5千円、1.1%の減となりました。
 特別会計は、令和2年度から公共下水道特別会計、簡易水道特別会計および個別排水処理施設整備特別会計の3つの特別会計が公営企業会計へ移行したことから6つの特別会計となり、総額で99億4,751万9千円、対前年度比マイナス18億755万5千円、15.4%の減となりました。
 また、企業会計ですが、これまでの水道事業会計に簡易水道事業会計と下水道事業会計が加わり、総額で51億383万1千円、対前年度比プラス33億9,429万1千円、198.5%の増となったところです。

(3)今年のまちづくりについて

 令和2年度は、総合計画を基本として、3つの視点からまちづくりに取り組んでまいります。

「ひとを育み・ひとにやさしい まち」という観点からは、
 地域医療の確保や救急医療体制の維持、充実を図り、市内の内科診療においては、16年ぶりの新規医療機関となる開業医の誘致を図ってまいります。
 また、伝染のおそれのある疾病の発生およびまん延を予防するため、乳児を対象に定期接種となるロタウイルス予防接種を無料化し、風しん予防接種については、抗体保有率の低い世代の男性を引き続き対象にし、公衆衛生の向上および増進に努めてまいります。
 健康づくりにおいては、「第3期網走市民健康づくりプラン」を策定し、健康増進のさらなる推進を図ってまいります。
 介護予防および日常生活支援では、介護要支援者等に対し、身体機能の維持向上や脳の活性化を図る取組として、買物の送迎や付き添い支援を提供してまいります。
 また、特別養護老人ホームの移転増床に対し支援を行い、福祉施設の充実を図ってまいります。
 安心して出産・子育てできる環境づくりを推進するため、「子育て世代包括支援センター」による、妊娠期から子育て期にわたる切れ目ない総合的な支援の提供をはじめ、電子母子手帳による支援、産後ケアの推進のほか5歳児健康相談、不妊治療費と不育症治療費の助成にも、引き続き、取り組んでまいります。
 また、幼児教育・保育においては、支援が必要な園児へのサポート体制の充実を図ってまいります。
 学校教育においては、引き続き、子どもたちの確かな学力、豊かな心、健やかな体の調和のとれた成長を促す取組を推進するとともに、学校と地域の連携・協働による「コミュニティ・スクール」を推進し、より一層の教育環境の充実に努めてまいります。

 次に、「活力あふれる まち」という観点から、
 農業については、引き続き国および道と連携し、ジャガイモシロシストセンチュウのまん延防止と防除に万全を尽くすとともに、今後の輪作体系の一つと期待される、もち麦の栽培促進やスマート農業の推進にも取り組んでまいります。
 水産業については、ウニの養殖手法の研究と種苗放流による資源増大を進めるほか、漁場環境の保全に努めるとともに、人口減少下においても水産加工業などの持続的発展を図るために、外国人実習生の受入に対し支援してまいります。
 観光については、経営視点に立った、多様な連携による戦略的な観光地域づくりを推進するDMOに対し支援してまいります。
 また、地域資源を活用した自然体験型観光コンテンツの開発や人材育成など、受入体制の整備を図り、アドベンチャーツーリズムの確立を推進してまいります。
 東京オリンピック・パラリンピックに関しては、オーストラリアと韓国のホストタウンとして、選手の合宿や文化交流に取り組むとともに、マラソン競技の札幌開催に伴い、陸上長距離選手など昨年のラグビーワールドカップの公認キャンプ地として得た評価を活かしながら、合宿誘致に努めてまいります。
 中心市街地の活性化については、網走中央商店街振興組合や、網走商工会議所、「まちなか網走」などとの連携を図りながら、イベントの創出やインバウンドの中心市街地への誘客に取り組んでまいります。
 市場開拓・販路拡大では、引き続き、ふるさと納税制度の積極的な活用により、特産品のPRに努めてまいります。
 雇用労働対策では、社会インフラの維持に欠かせない、技能者、運転手などの人材育成をはじめ、働きやすい職場環境づくりを促進し、地域が若者を育てる気運の醸成に努めてまいります。
 また、網走刑務所との連携により、公有地などの資源を活用した事業の創出を図り、共生型地域社会の実現と持続可能な産業振興を目指してまいります。
 地方創生に資する取り組みでは、網走の食材などを扱う市外事業者や、ふるさと寄附をいただいた方々を中心にあばしり応援人・応援隊を募るとともに、東京農業大学の卒業生などに対するさまざまなアプローチを通じて、交流人口・関係人口の創出・拡大を推進してまいります。
 また、地域が抱える多様な課題に対し、戦略的に解決を図るコンソーシアムを東京農業大学や関係団体などとの連携により構築し、課題解決に向けた取組を推進してまいります。

 次に、「安全・安心な まち」という観点からは、
 「FMあばしり」の活用を踏まえ、災害時の情報伝達手段として整備したJアラート・緊急割込装置の運用管理など、防災情報発信体制の強化に努めてまいります。
 また、引き続き、避難所の防災備蓄品の充実を進めるほか、土砂災害ハザードマップの作成や、町内会等を対象にした防災訓練や防災研修に取り組み、防災意識の向上を図ってまいります。
 さらに、大規模な地震の際に、大規模盛土造成地が、地すべりなどの発生の恐れがあるか調査を行ってまいります。
 公共交通については、交通事業者や関係機関との連携を図りながら、持続可能な公共交通ネットワークの構築に向けて、地域公共交通計画の策定を進めるとともに、オンデマンドバスの実証実験に取り組んでまいります。
 市街地における居住および都市機能の集約や適切な配置などを示す、「立地適正化計画」を策定し、コンパクトで利便性と持続性の高いまちづくりを推進してまいります。
 インフラの維持管理については、通学路の安全対策に加え、道路照明のLED化など、道路、橋梁、公園の老朽化対策や計画的な整備を進めるとともに、河川の適切な維持管理に努めてまいります。
 また、公営住宅については、潮見団地の建替えにあたり、子育て世帯に配慮した団地整備に向け、既存住宅の解体や土地の造成設計などに取り組んでまいります。
 市庁舎の建替えについては、新庁舎の機能、規模等を示す基本構想の策定を進めてまいります。

 次に、網走市総合計画に定める将来像「豊かな自然にひと・もの・まちが輝く 健康都市 網走」の実現に向けて、具体的に取り組む主な施策を5つの目標に沿って、あらためてご説明いたします。

3 主要施策

(1)一人ひとりを大切にするやさしいまち

第1は、「一人ひとりを大切にするやさしいまち」づくりです。

保健医療

 市民の皆様が生涯を通じて健康で安心して暮らせるよう、保健・医療、健康づくりの施策を一体的に推進してまいります。
 生活習慣病の予防では、「あばしりベジラブル運動」の普及啓発とともに、対象事業に参加した方にポイントを付与する「あばしり健康マイレージ事業」により特定健診の受診率の向上を図ってまいります。
 若い世代に対しましては、30代ファスト健診に取り組むことで壮年期の生活習慣病の発症や悪化を予防してまいります。
 また、健康づくりの目指すべき将来像を示す「第3期網走市民健康づくりプラン」を策定し、健康増進のさらなる推進を図ってまいります。
 子どものインフルエンザの発症と重症化を防ぐための予防接種の無料化や各種がん検診による早期発見と予防、胃がんの発病リスクを低減するためピロリ菌の感染検査に取り組むほか、新たに乳児を対象に定期接種となるロタウイルス予防接種を無料化し、風しん予防接種については、抗体保有率の低い世代の男性を引き続き対象にするなど、公衆衛生の向上および増進を図ってまいります。
 母子保健では、切れ目のない相談体制の確立とともに電子母子手帳による支援、産後ケアの推進のほか5歳児健康相談に取り組み、さらに、不妊治療費と不育症治療費の助成にも取り組んでまいります。
 地域医療については、大学医局と斜網地域の4町が連携した周産期医療体制支援のほか、急性期における脳神経外科の確保のための支援や、開業医誘致に取り組むとともに、引き続き、看護師と薬剤師の養成・確保に取り組む医療機関を支援し、医療体制の維持、充実に努めてまいります。

地域福祉

 地域福祉については、市民の皆様をはじめ団体、関係機関との連携を深め、「地域の支え合い」を念頭に総合的に取り組んでまいります。
 また、現在ご利用いただいている福祉バスを更新し、地域福祉の増進と向上を図ってまいります。
 高齢者福祉については、引き続き、保健、医療、福祉、地域など関係機関と情報や課題の共有、連携強化に努め、「第8期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画」を策定し、地域包括ケアシステムのさらなる推進を図ってまいります。
 また、引き続き、介護人材の確保に取り組む事業者を支援するとともに、事業者との情報交換を密にしながら、介護職員の離職防止や定着促進を図ってまいります。
 さらに、介護要支援者等に対し、買物の送迎や付き添い支援に取り組んでまいります。
 障がい者福祉については、手話言語条例に基づく手話の普及啓発や北海道障がい者冬季スポーツ大会の開催の誘致などを通して、障がい者の自立と社会参加の促進、市民の障がい者に対する理解の促進に努めるとともに、「第6次障がい者福祉計画並びに第6期障がい福祉計画」を策定し、障がい者がいきいきと安心して暮らせるまちづくりの推進を図ってまいります。
 また、関係機関と連携を図りながら、障がい者の自立した生活や就労を推進してまいります。
 子育て支援については、妊娠期から子育て期にわたる切れ目ない総合的な支援をはじめ、病後児保育や、支援が必要な園児への対応の充実を図ります。
 また、引き続き、子どもの医療費助成や、子どもの活動支援、地域での子どもの居場所づくりなど、子どもの成長に応じた支援の充実を図ってまいります。
 ひとり親家庭については、経済的支援とともに、親と児童の健康保持および福祉の増進を図るための医療費助成や、親の就労支援に、引き続き取り組んでまいります。

(2)豊かな自然と共生する安心なまち

第2は、「豊かな自然と共生する安心なまち」づくりです。

都市空間

 市街地における居住および都市機能の集約や適切な配置などを示す、「立地適正化計画」を策定し、コンパクトで利便性と持続性の高いまちづくりの推進を図ってまいります。

都市基盤

 市街地の整備については、網走川周辺の賑わいの創出を図るため、モヨロ地区の緑地整備、網走川左岸の散策路整備を一体的に進めてまいります。
 道路については、集中豪雨に対する市道の冠水対策や非常用電源の整備、通学路の安全対策に加え、道路照明のLED化など、道路、橋梁、公園の老朽化対策や計画的な整備を進めるとともに、河川の適切な維持管理に努めてまいります。
 冬期対策については、ロードヒーティングの計画的な改修や維持管理とともに、効率的な除雪体制を図ってまいります。
 港湾については、施設の老朽化対策を進めるとともに、大型客船の誘致にあたっては、他港と連携を図り、ポートセールスやキーパーソンの招請に取り組んでまいります。
 漁港については、静穏域の確保等、機能保全計画に基づく整備・補修を、管理者である北海道へ要望してまいります。
 公共交通については、持続可能な公共交通ネットワークの構築に向けて、地域公共交通計画の策定を進めるとともに、オンデマンドバスの実証実験に取り組んでまいります。
 また、運転手確保に取り組むバス、タクシー事業者を支援してまいります。
 JR北海道問題については、地域利用の促進では、乗車運賃の助成や、市民団体等による自発的な取り組みを支援するとともに、市民の皆様をはじめ、団体や企業などへマイレール運動を提唱してまいります。
 また、観光利用の促進では、外部事業者、沿線自治体、JR北海道などと連携し、釧網線を基軸に、沿線の観光地をシームレスにつなぐ取り組みを進め、鉄道利用者の市内宿泊の増加を図ってまいります。
 引き続き、鉄路の維持存続に向けて、多様な連携を図りながら、迅速かつ柔軟な対応に努めてまいります。
 女満別空港を含む道内7空港一括民間委託については、航空ネットワークの充実強化、広域観光の振興、地域特性を活かした空港づくりなどを念頭に、運営会社との連携を図ってまいります。

生活安全

 市民の安全・安心については、「FMあばしり」の活用を踏まえ、災害時の情報伝達手段として整備したJアラート・緊急割込装置の管理運用を行うとともに、避難行動要支援者や高齢者などへ緊急告知防災ラジオの普及に努めてまいります。
 また、避難所の防災備蓄品の充実を進めるほか、土砂災害ハザードマップの作成や、町内会等を対象にした防災訓練や防災研修に取り組み、防災意識の向上を図ってまいります。
 さらに、大規模な地震の際に、大規模盛土造成地が地すべりなどの発生の恐れがあるか調査を行ってまいります。
 耐震化対策が必要な市庁舎以外の公共施設については、引き続き、施設ごとに耐震化の方策や時期などについて、総合的な検討を進めてまいります。
 消防については、はしご車のオーバーホールや、ポンプ車の更新などを進め、消防力の充実、強化を図ってまいります。

環境

 地球環境の保全については、環境の保全と創造に関する施策の基本となる「網走市環境基本計画」を市民に周知し、地球温暖化対策の啓発を
進めてまいります。
 自然環境の保護については、濤沸湖の魅力および濤沸湖水鳥・湿地センターのPRと併せ、ガイドの養成や保全と利用のためのルールを改正し、環境保全と賢明な利用を推進してまいります。
 廃棄物処理については、引き続き市民の皆様にごみ分別の意義をお伝えし、ご理解とご協力を賜りながら分別手法の浸透を図ってまいります。

生活基盤

 公営住宅については、潮見団地の建て替えにあたり、子育て世帯に配慮した団地整備に向け、既存住宅の解体や土地の造成設計などに取り組んでまいります。
 また、引き続き、所得が一定基準の範囲内にある子育て世帯を対象にした民間賃貸住宅の供給を推進してまいります。
 空き家対策については、空き家バンク、住宅の解体費支援など総合的な対策を推進してまいります。
 上水道については、安全で安心な水を安定して各家庭に届けるため、導水管や配水管の布設替えなどを計画的に行ってまいります。
 下水道については、河川・湖沼の水環境の保全を図る施設を整備するとともに、老朽化した下水管の更新を進め、公衆衛生の向上を図ってまいります。
 火葬場については、火葬炉の改修を行い、適切な維持管理に努めてまいります。

(3)ひとが集いにぎわいと活力を生むまち

第3は、「ひとが集いにぎわいと活力を生むまち」づくりです。

農林業

 農業では、国および道とともにジャガイモシロシストセンチュウのまん延防止と防除に万全を尽くすとともに、もち麦の栽培促進やスマート農業の推進を図るほか、引き続き、農業基盤整備を進めてまいります。
 林業については、森林の持つ木材生産と環境保全という多面的機能の維持と再生を図るため、計画的な森林整備や林道施設の適切な維持管理に努めるとともに、法面崩落の復旧や落石防止対策を図ってまいります。
 また、エゾシカによる農作物被害対策を進めるとともに、近年増加傾向にあるクマの出没に対して、専門家と連携しながら生息状況の調査やその対応を検討してまいります。

水産業

 漁業については、網走湖のシジミ資源の安定化に向けた調査・研究や濤沸湖のシジミ漁業の再生、能取湖のホッカイエビの資源増大に加えて、ウニの増養殖試験を支援するほか、海面・内水面における漁場環境保全や網走湖および能取湖の水質・資源調査を支援し、漁家経営の安定化を図ってまいります。
 水産加工振興については、水産物のブランド化の推進のほか、当市に縁のある企業や東京網走会、友好都市などとの連携により、地場水産物のPRとともに、ふるさと納税制度の活用により消費拡大を図ってまいります。
 また、外国人技能実習生の技能検定料を支援し、人口減少下においても、当市における持続的な水産業等の発展を図ってまいります。

観光

 観光については、地域DMOの事業を支援し、戦略的な観光地域づくりを推進するとともに、地域資源を活用したアドベンチャーツーリズムの創出や受入体制の整備を図るほか、各施設の魅力向上の検討を図ってまいります。
 また、閑散期における観光消費の確保および東京オリンピック・パラリンピック開催に伴う旅行需要の減少対策として、宿泊ツアー商品に支援し、観光需要の喚起を図ってまいります。
 「オホーツク網走マラソン2020」では、より魅力的に進化し続ける大会を目指して、市民の皆様とともに取り組んでまいります。
 外国人観光客の誘致については、広域・地域連携を基本にマーケットの特性に合わせたプロモーション活動と広域周遊観光の取り組みを進め、誘客促進を図ってまいります。

商工業

 中心市街地対策については、網走中央商店街振興組合や、網走商工会議所、「まちなか網走」などとの連携を図りながら、イベントの創出や地域商社機能の強化、空き店舗の活用などを支援するとともに、インバウンドの中心市街地への誘客に取り組んでまいります。
 企業誘致については、引き続き、地域の特性に即した誘致活動を推進するとともに、網走刑務所との連携により、公有地などの資源を活用した事業の創出を図り、共生型地域社会の実現と持続可能な産業振興を目指してまいります。

産業振興

 ものづくりについては、国内販売・海外輸出の促進と対外競争力の強化を図るため、引き続き、北海道HACCPの導入や新製品の創出および起業化支援など、関係機関との連携を図りながら、総合的かつ一体的に取り組んでまいります。
 市場開拓・販路拡大では、ふるさと納税制度の積極的な活用を図りながら、特産品のPRに努めてまいります。
 就労対策では、女性や高齢者の就労支援に努めるとともに、社会インフラの維持に欠かせない、技能者、運転手などの人材育成をはじめ、働きやすい職場環境づくりを促進し、地域が若者を育てる気運の醸成に努めてまいります。また、企業のU・I・Jターンの取り組みを支援するほか、国の制度を活用し、東京圏からの移住者の起業・就業に対する支援に取り組んでまいります。

(4)豊かなひとを育むまち

第4は、「豊かなひとを育むまち」づくりです。

学校教育

 就学前施設から小学校への円滑な接続と連携のために、幼児と児童との交流や教職員が教育内容や指導方法の相互理解を深め、いわゆる「小1プロブレム」の未然防止を図るため、幼稚園・保育園・認定こども園・小学校の連携を進めてまいります。
 学校教育については、教育内容の充実、学校運営の改善、教育環境の整備に努めることにより、子どもたちの確かな学力、豊かな心、健やかな体の調和のとれた成長を促す取り組みを推進してまいります。
 このため、学習支援員を配置し、習熟度別授業や少人数指導などに取り組むとともに、ICT機器を活用した教育の充実のほか、外国語指導助手(ALT)による英語教育の充実を図るなど、授業の円滑な進行と質の向上に努めてまいります。
 また、児童の学力・体力向上を図るため、東京農業大学の学生ボランティアによる学習サポートおよび、日本体育大学の指導者による子どもへの指導や教員研修に引き続き取り組んでまいります。
 特別支援教育では、特別な支援を必要とする子どもたちの学校生活や学習活動をサポートする支援員を配置してまいります。
 さらに、学校と地域が連携・協働により学校の運営に取り組む仕組み「コミュニティ・スクール」を推進するとともに、校務の情報化と効率化を進め、教育の質の向上と教員の事務負担の軽減を図り、すべての教員が子どもたち一人一人と向き合う時間を確保することができるよう、取り組んでまいります。
 高等教育については、網走南ヶ丘高校定時制課程の振興のための助成のほか、下校時の通学手段の確保を支援するとともに、東京農業大学や学校支援地域本部との連携による教育ボランティアの拡大に努めてまいります。
 東京農業大学については、学生確保対策として地元や友好都市等から入学する学生への学資支援金の給付を引き続き実施してまいります。
 日本体育大学附属高等支援学校については、経済的負担を軽減するため、入学費用の一部を支援するとともに、施設整備や教育活動に対して必要な支援を引き続き実施してまいります。

社会教育

 社会教育については、市民の主体的な学習が豊かで潤いのある地域づくりへと進展していく契機となるような学びの場の充実を図り、網走の魅力を再認識し、新たな発想や創造につながる学習機会を提供してまいります。
 また、子どもたちの豊かな心や感性、たくましく生きる力を育み、夢を持って生きることの素晴らしさを学ぶ、子ども夢育事業を引き続き実施するとともに、青少年の学習環境の整備を図るほか、高等教育機関等と連携した多様な学習機会を提供してまいります。
 図書館については、各種資料の収集や整備・保存に努め、多くの市民が読書に親しめる環境づくりに取り組んでまいります。
 博物館では、郷土の歴史について学び、体験する場として、企画展示や教育普及活動に取り組んでまいります。

文化

 芸術文化については、多くの市民が優れた芸術文化に触れ、豊かな人間性を育むことができる芸術文化活動の充実を図るため、さまざまな分野の鑑賞機会を提供してまいります。
 さらに、3年ぶりとなる「ふるさとアーティストフェスティバル」の開催や芸術系大学、団体等の合宿誘致により、芸術文化の活動拠点づくりを図ってまいります。
 また、美術館では、優れた美術作品の鑑賞機会を提供する企画展や教育普及活動のほか、将来が期待される若手美術家の作品を収集し、公共施設等に展示する事業に取り組んでまいります。
 モヨロ貝塚については、古代モヨロ文化を学び体験する講座の開催などにより、史跡を広くPRし、まちのシンボリックイメージとしてのモヨロ文化の定着を図ってまいります。
 国の登録有形文化財に登録された郷土博物館については、建物の保全に努めるとともに、国の重要文化財指定を目指し、引き続き必要な取組を進めてまいります。

スポーツ

 スポーツについては、競技スポーツの振興はもとより、生涯にわたり気軽にスポーツに親しみ、健康の維持・増進が効果的に図られる環境づくりを行ってまいります。
 また、トップアスリートなどが「夢先生」として学校を訪問し、授業を行う「夢の教室」を引き続き市内の全小学校で開催し、児童の健全育成に取り組むとともに、全道大会、全国大会に出場するスポーツ少年団へ遠征費用を支援し、子育て世帯の負担軽減を図ってまいります。
 障がい者スポーツについては、障がいのある人がスポーツに親しみ、身体を動かす喜びを体感することによって、健康増進や体力向上を図ることのできる環境づくりを進めるとともに、障がい者スポーツ選手や指導者の育成を図ってまいります。
 スポーツ合宿については、関係機関や団体との連携を図りながら、誘致活動に努めてまいります。
 また、東京オリンピック・パラリンピックに関しては、オーストラリアと韓国のホストタウンとして、選手の合宿や文化交流に取り組むとともに、マラソン競技の札幌開催に伴い、陸上長距離選手などラグビーワールドカップの公認キャンプ地で得た評価を活かしながら、合宿誘致に努めてまいります。

交流

 国際交流については、姉妹都市であるポートアルバーニ市とは、少年少女訪問団の派遣など青少年の交流を中心に友好を深めてまいります。
 大韓民国蔚山広域市南区との交流は、引き続き、市民の主体的な友好交流の促進を図ってまいります。
 地域間交流では、網走の食材などを扱う市外事業者や、ふるさと寄附をいただいた方々を中心にあばしり応援人・応援隊を募るとともに、東京農業大学の卒業生などに対するさまざまなアプローチを通じて、交流人口・関係人口の創出・拡大を推進してまいります。
 また、網走で働くことを希望する若者を大都市圏から募る地域おこし協力隊に引き続き取り組み、移住・定住の促進に努めます。

(5)ともに歩み、ともに築く協働のまち

第5は、「ともに歩み、ともに築く協働のまち」づくりです。

地域協働

 地域協働については、まちづくりの主体である市民や地域活動の核である町内会、さまざまな分野で活動している市民活動団体などの多様な組織・団体とともに取り組んでまいります。特に、住民による助け合い支え合う「共助」と「地域力」の向上を図る町内会活動への理解と市民活動の活性化を支援してまいります。
 広報・広聴分野では、広報紙の充実に努めるとともに、「FMあばしり」などさまざまな情報伝達手段を活用して、正確で的確な市政情報の提供に努めてまいります。また、「まちづくりふれあい懇談会」「みんなの市長室」「市長への手紙」などを引き続き実施し、市民とともに築くまちづくりを進めてまいります。

行政運営

 行政運営の取り組みについては、「網走市まち・ひと・しごと創生総合戦略」の進捗状況や達成度を検証・分析するとともに、効率的、効果的施策を推進してまいります。
 また、「網走市公共施設等総合管理計画」および「第4次網走市行政改革推進計画」に基づき、公共施設等の適正配置と効率的で効果的な事務事業の推進を図り、健全な財政運営を目指してまいります。
 広域連携については、連携協定を締結している大学、企業などのほか、JR北海道問題や、観光・空港の振興、地方創生に関する連携などによる取り組みに加え、地域が抱える多様な課題に対し、戦略的に解決を図るコンソーシアムを東京農業大学や関係団体などとの連携により構築し、課題解決に向けたさまざまな取り組みを推進してまいります。
 また、大空町と形成している定住自立圏では、共生ビジョンに基づき、公共施設の利用料フラット化および土曜日における小中学生の社会教育施設利用料の無料化など、圏域形成に必要な生活機能の確保を図る取り組みを引き続き進めてまいります。

4 おわりに

 日本全体の本格的な人口減少・少子高齢化の進展により、それに伴う地域の医療、保健、福祉、地域交通やコミュニティなど、生活基盤の維持・確保が難しい時代を迎えております。
 また、全国各地で自然災害が発生する頻度が高まる中、市民の皆様をはじめ、団体、企業、行政など多様な連携や協力のもと、知恵と工夫を寄せ合い、網走の持つさまざまな魅力を最大限に活かしたまちづくりを進め、ひと・もの・まちが輝き続ける健康で元気な「網走」を目指してまいりますので、議員各位並びに市民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。