網走の一大イベントと言っても過言ではないホタテの稚貝放流。平成20年も網走(5月30日~)・西網走(5月16日~)両漁協によるホタテ稚貝の放流作業が行なわれました。
網走市民なら知ってて当然!けど、実際にはどんなことをやってるのかわからない(>_<) 知ってるようで意外と知らない、謎のベールに包まれた稚貝放流作業を、今回は写真を交えて紹介したいと思います。 ※写真は6月5日撮影(網走漁協分は一部5月30日撮影)
(午前1時30分ごろ)
中間育成籠を引き上げた網走漁協の船が、たくさんの籠を積んで港(網走新港)に戻ってくるのがこの時間です。
写真は中間育成籠が入ったコンテナを港に降ろしているところです。
港に降ろした中間育成籠から、稚貝を取り出してコンテナに集めます。
稚貝が入ったコンテナに海水をかけて、稚貝が弱るのを防ぎます。
自動で海水をかける装置もあります。(5月30日撮影)
稚貝はパレット単位で計量され、放流・出荷されます。(5月30日撮影)
稚貝の約6割(平成20年は約1億4千万粒)は放流船に積み込まれ、その年の放流区に放流されます。
残りの稚貝(平成20年は約8千6百万粒)はトラックに積み込まれ、道内各地の漁協に出荷されます。
(午前4時前)
港での作業も山場を越え、次第に落ち着きを取り戻し始めます。
網走新港から卯原内(うばらない)漁港に車で移動中です。まだ朝の4時なので、車が少なく快適です♪
(午前4時過ぎ)
このころ、西網走漁協(写真は卯原内漁港)では、4時半からの作業に向けて、準備が既に始まっています。
海に垂下されている中間育成籠を、ゴム製のドラムを用いて引き上げます。
中間育成籠を引き上げた船が戻ってきて、籠を港に降ろします。卯原内漁港では、手作業ではなく備え付けのクレーンを使って籠が降ろされます。
(午前4時半)
中間育成籠から稚貝を取り出す作業が一斉に始まります。
稚貝が入るコンテナには、稚貝が弱らないように海水がかけられています。
コンテナに入れられた稚貝はパレットいっぱいに積み上げられ、フォークリフトで運ばれていきます。
ここでも、稚貝が弱らないように海水がかけられています。
稚貝のほとんど(平成20年は約1億7千万粒)はトラックに積み込まれ、道内各地の漁協に出荷されていきます。
トラックに積み込まれた稚貝は、トラックごと秤(トラックスケール)に乗って計量されます。(トラックが空の状態で1度計量し、稚貝を積み込み後にもう一度計量すると、その差が稚貝の出荷重量になります。)
残りの稚貝(今年は約1千万粒)は、放流のために再び船に積み込まれます。
その年の放流区に到着すると、船に積み込まれた稚貝を次々と能取湖に放流していきます。
ホタテの稚貝放流は、ホタテ種苗生産の過程の一つです。そこで、ホタテの種苗生産の概要を簡単に説明します。
ホタテガイは5~6月に産卵します。受精後に浮遊幼生となり、およそ40日間海中を漂って生活して0.25mm位の大きさになると、いろいろなものに付着します。この時期に採苗器という二重の網を海中に設置して、採苗器に浮遊幼生を付着させます。
9月ごろ、採苗器の中で8~10mmの大きさまで成長した稚貝を中間育成籠に移し替えて海中に垂下し、このまま一冬を越します。
翌年の5月に、3~5cmになった稚貝は海中から引き上げられ、レポートの中にもあるように、放流もしくは出荷されていきます。(下図は、能取湖の種苗生産を図解したものです。)
放流後3~4年間、稚貝は自然の中で成長して、大きくなったホタテが漁獲されることになります。(ホタテ種苗生産の詳細については「ホタテ種苗生産」のページをご覧ください。)
◆「ホタテの種苗生産」のページ