網走湖は全道のシジミ水揚げ量の8割以上を水揚げしている有数のシジミ産地です。また、網走湖のシジミは本州のものと比べて粒が大きいことでも知られています。
このように安定した水揚げが維持されている背景には、網走湖が単に豊かな魚場であるという理由だけではなく、下記のような徹底した資源管理があります。
それでは、資源管理型漁業の一例として、網走湖のシジミ漁業で行なわれている資源管理の手法を見てみましょう。
漁獲量の上限を決めずに漁業を行なうと、獲りすぎて十分な親が残らなくなってしまうことがあります。これを繰り返すと、生まれてくる子供の数が減ってしまうため、資源の減少につながります。そこで、漁獲量を制限して十分な漁の親を残すことが重要になってきます。
Step1
:資源量調査を行なう
網走湖にはシジミがどれくらい生息しているのか、漁獲できる大きさのシジミの割合はどれくらいか、今年生まれたシジミはどれくらいいるのかなど、シジミの資源量を調査します。
Step2
:年間の漁獲量を決める
資源量調査の結果をもとに、1年間で何トンまで獲ってよいかという漁獲許容量を決定します。
ちなみに平成20年度は、資源調査の結果が思わしくなかったため、漁獲許容量は前年の800tから100t減産の700tとなっています。
漁獲サイズを制限せずに小さなものまで獲ってしまうと、次年度以降に大きくなる(漁獲サイズになる)ものがなくなり、結果として資源量の減少につながってしまいます。そこで網走湖では、殻長23mm以上のシジミのみを出荷し、23mm未満のシジミは湖に戻しています。
ちなみに、網走は本州と比べて冷涼なため、網走湖のシジミは本州のシジミより成長が遅いという特徴があります。(一説では、漁獲サイズの23mmになるまで10年かかるという話もあります。)そのため、本州と同じように小さなシジミまで獲ってしまうと成長が追いつかず、あっという間に獲りつくしてしまうということにもなりかねません。
Step1
:専用の機械で漁獲物を選別する
漁獲したシジミを専用の機械にかけて選別します。殻長が23mmに満たないシジミは湖に返されます。
Step2
:トーシと呼ばれるふるいで選別する
機械にかけたシジミを、さらにトーシと呼ばれるふるいで選別します。
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